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種をまく、そして育む

 こんにちは。昨年7月に津南町長に就任し、1年がたちました。

長年の町の課題を一つずつひも解いていった1年でございました。

私は、決して器用ではない人間ですが、町民のみなさまから日々いただくメールや投書、町長室へのご来訪、店先でそっとささやいてのご指導などに支えられてきました。

本当にありがとうございます。この1年を振り返ります。

物心ともに豊かで、日本一生き生きと輝く町に

私たちの国は戦後「一億総中流」と言われていましたが、時代が変わり、今日では「格差の時代」と言われ、生きにくさを感じる人々が出てきています。私は、このまま貧富の格差、世代間の格差、そして何より地方と都市の格差がますます進むことを危惧し、8年前町政の道に進みました。

世の中は技術の進歩がめざましい一方で、人口減少が進んでいます。このように時代が大きく変わっていくなかで、時代に取り残されない町づくりをしないといけないのです。激動の時代にあっても、みんなが安心して住み続けられるように。

そのためには、質の高い医療や教育がきちんと受けられ、道路などのインフラがしっかり整い、稼ぐことができる生活基盤が必要です。町民のみなさまが物心ともに豊かに暮らすことができて、町全体が日本一生き生きと輝けるようになるまで、町民のみなさまと共にやり遂げさせてください。

「おらが病院」町立津南病院

地域医療については、多くの町民のみなさまから関心を寄せていただいています。特に町立津南病院は、多額の経営赤字を町の一般会計が補填しているため、町本体の財政に及ぼす影響が大きくなっています。この問題について、町民のみなさまの関心が高いのは、何よりも「おらが病院」や「おらが地域医療」という考えで、町立で支えてきた誇りにあると思います。

私は、難しい課題ではありますが、「町立病院の経営再建」と「地域医療の充実」は両立しなければならないという考えで取り組んでまいりました。医療がぜい弱な地域に人は集まりません。人口減少が進むなか、町で「最も身近な医療」として町立病院が果たしている役割は大きく、今後さらにその役割が重要視される日が来るでしょう。そのためには経営を見直し、いかにして地域医療を守っていけるかを町民のみなさまを交えて、真剣に考えていかなければならないという思いで、取り組んできました。

私は町長就任以来、阪本院長とともに長年お世話になっている医師派遣元の東京慈恵会医科大学(以下、慈恵大)を訪問し、常勤での医師派遣を要望してまいりました。同時に、院長や林副院長のすばらしい行動力のおかげで、町内在住の半戸先生を整形外科の常勤医としてお迎えすることができました。また、7月1日から一般病床のうち「地域包括ケア病床」を10床開設し、症状が安定しているもののご自宅や施設ではまだ療養に不安がある患者さまに向けた支援を始めています。今後は診療科・診療日数を調整しながら、持続可能な診療体制を進めてまいります。

十日町圏の地域医療に新たな視点を

さて、「おらが地域医療」を守っていくには、町のことだけでなく、もう少しエリアを広げて考えていくことが重要になります。魚沼基幹病院を核とする魚沼医療圏の充実、その中でも特に十日町圏(十日町市・津南町)の充実が住みよい地域づくりには欠かせません。町立病院のことも、町だけで考える時代ではなく、新潟県や十日町市と連携を深め、共に構想していくことが必要です。県立十日町病院、県立松代病院、町立津南病院という広い十日町圏で3つとなった病院を今後どのような協力体系で、地域医療を守り構築していくか、新たな視点が求められます。

特に医師不足について、十日町圏は全国のなかで医師充足率が極めて下位となっています 。医師不足対策のためには、地元で医師になる若い人を育てることが何よりも重要であるとともに、町が長年ご縁をつないできた慈恵大とより深い信頼関係を築き、新たなパートナーシップの可能性を見いだしていきたいと考えています。
慈恵大はこれまでにも、町立病院への医師派遣だけでなく、国保川西診療所へ毎週の小児科医派遣や、来年4月に開校する県立十日町看護専門学校(仮称)への講師の派遣など、十日町圏にもご貢献いただいています。つないできたご縁を資産ととらえ、慈恵大と町、そして慈恵大と十日町圏がさらに共存共栄するように取り組んでまいります。

未来につながる子育て教育環境

子どもたちは町の宝です。町の将来のためには、行き着くところは教育、人材育成でございます。例えば、栄村と一緒に取り組んでいる「苗場山麓ジオパーク」は、「地域にあるものに価値を見いだし、活用できる人材を育てること」という考えから、教育委員会に事務局を置き、総合学習などでジオパークの取り組みを通じて子どもたちに郷土を教えています。昨年、再認定に向けた審査では、津南町の教育方法が高く評価されました。また、ジオパーク教育の結果、小中高校生が町に提言をし、町内外でPR活動をしてくださることは町の大きな力となっており、将来の活躍がとても楽しみです。

私は町民のみなさまのご理解をいただくなかで、子育て教育環境にしっかり投資できる町政運営を進めたいと考えております。医療と同様、教育がぜい弱な地域に人は魅力を感じません。しっかりと投資し、魅力的な子育て教育環境を整えることで、将来的に「津南での子育て」をめがけて帰郷したり、移住する流れにつながります。子育て教育しやすい町にしていきたいのです。

町の魅力となる保育園づくり

課題である保育園整備について、昨年からの保育園統合、新保育園整備の説明会では、結論を急ぐかの印象を与えてしまった点があり、お詫び申し上げます。また、平成26年3月に町保育園整備等検討委員会から出された「全町で2園が望ましい」という答申は、その後の少子化の進展、家族事情の変化などがあったとは言え、重いものであり、「全町で1園」という方針の変更に至った経緯をもっと丁寧に説明しながら進めるべきであったと思い、今後は町民のみなさまの意見を丁寧に拾いながら進めていきたいです。

ひるがえって保育の現場を見ますと、老朽化はもちろん、未満児が増加し園舎が時代に合わなくなってきています。保育園は家族にとって、「子どもを預けられさえすれば良い」施設ではありません。保育園は子どもの「第2の住居」として、安全面、衛生面、教育面で充実した環境整備が必要です。今の子どもたちに合ったより良い環境を整えさせていただきたい、子どもは町の宝であるという考えを行動で示していきたいのです。

先日、町の保育士全員と意見交換をする機会をもちました。保育士たちが「今の津南の子どもたちが置かれている環境を一日でも早く改善したい」、「津南の子どもたちにこんな保育がしたい」という熱い思いを話し、私はその熱意を受け止めました。保育士の指導をお願いしている新潟県立大学の教授からは、以前より町の保育士の能力や資質を高く評価してくださっていますが、私は改めて「この保育士たちに町の保育を任せたい」と強く感じたところです。保育士たちがどのような保育をしていきたいかを今後の計画に十分に反映していかなければならないと感じています。

規模については大きな園で、子どもが落ち着かなくなるのではないかとの心配の声もいただいています。町では小さい町ならではの機動性で県内でもいち早く、子どもの特性に応じた支援に力を入れてまいりました。その蓄積は大きく、さらに充実した支援方法が可能になると考えています。集団で過ごす環境だけでなく、一人で落ち着いて過ごす環境にも配慮し、子ども目線で進めてまいります。

いずれにいたしましても、町じゅうのすぐそこにある豊かな自然を活かし、多様なしかけと保育士の熱い思いを含んだ夢のある新保育園の計画を作り上げてまいります。その過程では、親世代や若い世代をはじめ、町民のみなさまの声を丁寧に拾い、町の魅力となる保育園づくりに取り組んでまいります。

また、今年10月には、政府の方針で幼児教育・保育無償化がスタートいたします。3〜5歳児は全世帯の保育料無償化、0〜2歳児は住民税非課税世帯の保育料無償化となりますので、制度設計ができ次第お知らせいたします。

稼ぐ力を生み出せる町に

これから町が10年、20年と輝いていけるような持続可能な地域であるためには、地域経済を維持していく必要があります。人口減少による地域経済の縮小を食い止めるためには、外からお金を持ってくる、いわゆる「稼ぐ力」をつけ、稼いだお金を地域に循環させる仕組みが必要です。この仕組みづくりは本当の変革を必要とし時間がかかる課題なので、性別や世代を超えたいろいろな人々が頭と体を使って、新たに生み出さなければならないところです。

「津南未来会議」はその取り組みの1つで、町の課題を見える化し、既成概念を乗り越えて町を活性化するために、多くの町民や在勤者による話し合いが進められています。今後、アイディアややる気のある事業者や個人に対して、寄り添った政策を展開できるように体制を整えてまいります。
さて、稼ぐ力の1本目の柱は「農業」です。農業は、町の少子高齢化、人口減少の影響を直接受けている分野です。さらに、市場ニーズの目まぐるしい変化や技術革新もあり、今の農業は大規模集約化や高度化に向かっています。

このようななかで、農家のみなさまが安心して農業を続けられ、この先も魅力ある持続可能な「農業立町」にしていかなければならないという思いで取り組んでおります。年月をかけて、多くのことをやらなければならないと思っています。

そのために、新潟県から専門家である農業普及センターの職員を町に派遣していただきました。現在の主な活動としては、米だけでなく園芸にも力を入れている県と連携し、稼げる農業のモデル経営体の育成をめざしています。同時に、町の農産物の付加価値を上げ、有利な販売につながるように調査や情報発信を行っています。現場に寄り添った活動をし、専業としての農業や暮らしの一部としての農業など多様な農業が、稼ぐ力を養えるよう推進します。

2本目の柱は「商工業」です。多種多様な業態がありますが、DMOによる観光地域づくりなどより幅広い分野に良い影響を与える施策を展開してまいります。また、一つ一つの事業者のニーズをくみ取り、これからの時代の変化に即した稼ぐ力を養えるように支援していきます。

3本目の柱は「創業支援」です。これから町だけでなく、日本全体が先進国のどこも経験したことのない人口減少の時代に向かいます。これを乗り越えていくためには、既成概念にとらわれない新しい発想と挑戦が必要です。地域住民や企業だけでなく、Uターン者や移住者、新規就農者などが新規ビジネスを立ち上げる際の積極的な支援ができる仕組みをつくってまいります。

町民のみなさまと共に前進し、成長し続けます!

町長就任一年を振り返る01-03(低解像度)

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